時空ありすこしはづれてちよろぎあり 大谷弘至
ちょろぎとは、おせち料理の黒豆の上にちょこんとある、赤くて小さい芋虫のような形をした、あれである。確かにどこか不可思議な存在感がある。時空すなわち時間と空間は、古代から哲学や科学の対象となってきたし、今なお謎が大きい。一...
ちょろぎとは、おせち料理の黒豆の上にちょこんとある、赤くて小さい芋虫のような形をした、あれである。確かにどこか不可思議な存在感がある。時空すなわち時間と空間は、古代から哲学や科学の対象となってきたし、今なお謎が大きい。一...
聞こえないものを聞き、見えないものを見、そして言葉にできないものを言葉にする、それが俳句である。この句の眼目はまさにそこにあるのではなかろうか。蚯蚓はもちろん鳴かない。しかし、俳句ではその声を確かに聞くことができる。この...
無気味にしてユーモラスな貝の姿がありありと目に浮かぶ。蛤のような二枚貝であろうか。腹も腸さえもさらけ出してやってくるかのようで、どうもこの世のものではなさそうである。松瀬青々の〈貝寄せや愚かな貝も寄せてくる〉という句があ...