野とともに焼る地蔵のしきみ哉 蕪村

地蔵に供えられた樒(しきみ)が野火につつまれる。おそらく地蔵もろともに。蕪村といえど、これはなかなか絵にしにくい光景であろう。蕪村は雪や雨、灯りも巧みに描いたが、炎は描いていないのではないだろうか。この句を詠んだとき、蕪村の目にはどんな光景が映っていたか。樒を供えるのも人。その樒を野火に焼いてしまうのもまた人である。地蔵はただ焼け野の中に平気な顔をして立っている。
出典『蕪村句集』

1件のコメント

  1. 補足:実際は、野を焼くついでに、地蔵に供えた樒をぬいて一緒に焼いたというほうが自然な読みであろう。しかし、地蔵が野火のなかで平気でいる、その顔を蕪村は想像しているはずである。

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