めんどりにして蟷螂をふりまわす 飴山實
この句は偶然を劇に仕立てあげている句だと思います。もちろん喜劇ですが、たんにコミカルな笑いだけに終らないのが、この句の凄いところです。なぜなら、そこには偶然性の肯定があるからです。それがあるとないとでは、この句の面白さは…
この句は偶然を劇に仕立てあげている句だと思います。もちろん喜劇ですが、たんにコミカルな笑いだけに終らないのが、この句の凄いところです。なぜなら、そこには偶然性の肯定があるからです。それがあるとないとでは、この句の面白さは…
ご存知、熊野とは紀伊半島の南端、和歌山県と三重県の県境、奈良からみると吉野の山の向こう側です。平地がほとんどなく、険しい山と荒々しい海とがこすれあっているような場所です。歴史的には大和朝廷より古く、古来、神話的な空間とし…
「明易し」は和語ですが、漢語でいうと「短夜」。もちろん夏の季語です。夏は夜がいい。そう清少納言も書いているように、夜が明けてしまうことを惜しむ心が、この季語の本意です。宮廷では、朝になれば男は女のもとから帰らねばならない…
鶏合(とりあわせ)が春の季語です。闘鶏(とうけい)、勝鶏(かちどり)、負鶏(まけどり)といった類季語があります。平安時代の宮廷には、三月三日に鶏を闘わせる行事があったのだそうです。奈良時代に唐の国からわたってきた風俗で、…
蛞蝓(なめくじ)は蝸牛(かたつむり)が殻を失う方向へ進化したものだそうです。二本の角のような触角をもち、腹全体がを足裏のようにして這い進む。体はほとんどが水分で、その体表は粘液に覆われおり、塩をかけると体液が外に出てしま…
草なぎ剛に捧げたし。
〈俎板に鱗ちりしく桜鯛〉 という正岡子規の有名な句があります。赤と白をイメージさせる春の句ですが、青々のほうは夏の句で青と黒。対照的な色合いです。また、青々よりも十歳程度若く、青々と同じ大阪の俳人であった青木月斗にも、 …