アラン島とはどんな島か。
アラン島は、スコットランドのクライド湾名内とアイルランド西岸とに同名の島がある。アイルランドのほうは3つの島からなり、アラン諸島とも呼ばれる。主に岩でできていて、冬には強風が吹きつけ、断崖に怒涛が押し寄せる荒涼とした島だ。ざくざくとした縄柄のアランセーターの発祥も、J・M・シングの紀行文『アラン』も、アイルランドのアラン島が舞台である。
掲句はアイルランドのアラン島だろう。そして、言うまでもなく、この句の背後には加藤楸邨の〈隠岐やいま木の芽をかこむ怒涛かな〉がある。
調べてみて、スコットランドのアラン島に不思議ものを見つけた。「スタンディング・ストーン」と呼ばれる遺跡群だ。こちらの島も岩礁が隆起してできた島で、片側に岩山がある。その岩山から切り出した岩が、あちこちに無造作に立てられている。それらは何のために立てられたのか、その目的もわかっていない。
作者の著書に《俳句は、大理石の山から石を切り出すように、散文から切り出してきたものである》という一文があるが、まさにスタンディング・ストーンはこの一文を思い起こさせる。
俳句ももとは連句の「立句」、立てるものである。華道でも花は活けるものではなく、立てるものである。荒れ野に吃立する巨石は、我々の感性にも響き合うものがありそうだ。
掲句出典:『九月』