うき事も鼻にぬけたる新酒哉 松瀬青々

日本酒を最近おぼえたせいもありますが、実感として詠めます。句を詠んでいるだけなのに、ほんとうに憂きことが鼻から抜けていきます。松瀬青々は子規からの評価が高かった俳人で、関西のホトトギス派の重鎮だそうです。もともと数学が得意な人だったそうで、朝日新聞社に勤務して経理をやっていたそうですが、朝日俳壇の創始者でもあって、その選者もつとめています。無季で定型によらない近代詩の方向へ進んでいく碧梧桐と論争したこともあるのですが、有季定型、花鳥諷詠を絶対化する虚子ともその理を異にするところがあったようです。知りませんでしたが、たいへんな芭蕉研究者でもあったり、俳画を描くところなんかは蕪村にも通じます。こうして外側から見ていくと、この句の魅力も、松瀬青々という俳人の魅力も、さらに明らかになってくるように思います。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA