迎鐘土の底よりきこゆなり 長谷川櫂
あの世は地の底にあるのだろうか。幼少のころ、祖母が家のまえて迎え火を焚いていた様子をおぼろげながら記憶している。その時の感覚では、明らかに空から来る感じであった。日本の固有信仰では死者の霊は裏山に集まり、やがて祖霊として...
あの世は地の底にあるのだろうか。幼少のころ、祖母が家のまえて迎え火を焚いていた様子をおぼろげながら記憶している。その時の感覚では、明らかに空から来る感じであった。日本の固有信仰では死者の霊は裏山に集まり、やがて祖霊として...
釘箱を開けるとなかの釘がことごとく赤く錆びついていたのだろう。釘箱の外に広がる世界も、同様に真っ赤に染まっている。釘の赤がさらにあざやかにみえてくる。 また掲句を音にしてとらえなおすと、「KUGIBAKO NO KUGI...
最後がもし「ありけり」であれば、むかし戦争があったそうだということになるが、この句は「ありにけり」。つまり、そこに戦争があった、そのことにいま気づいたということである。 しかも、この句は「しんと」戦争があったという。戦争...
昨年末NHKBSのドラマ『ストレンジャー~上海の芥川龍之介~』をみました。主演は松田龍平。無表情の演技がすばらしかったです。映像の品質も高く、100年前の中国の現実をリアリズムで描いていて、なかなかみごたえがありました。...
新年早々、食あたりで寝込みました。下痢と嘔吐、そのあとは高熱。こんな寝正月、生まれて初めてです。これは、もう生き方を改めよという神の啓示でしょうか。食べることの恐ろしさを感じた、こんな年明けにふさわしい俳人は、この人しか...
後藤比奈夫さんの句集『白寿』(2016年)『あんこーる』(2017年)『喝采』(2019年)から選をさせていただきます。比奈夫さんは大正6年(1917年)生まれということで、おんとし百二歳。おそらく、来年も再来年もまた続...