伐り出して七夕竹としたりけり 長谷川櫂

山から伐り出してきた一本の竹。伐られる前は他の竹と変わらぬそれであったはずだが、根茎から伐り離されたとたんに、選ばれた竹となる。あとには戻れない。他の青竹にも七夕竹となる可能性は等しくあったはず。しかし七夕竹となったのは、その一本の竹であった。作者は竹の運命を自分が決めたことに驚いているのだ。夜空に輝く一本の七夕竹の誇らしげなさまが目に浮かぶ。

※古志HPの「今日の一句」の8月27日掲載分です。

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