夢の世に並びて二つ露の石 長谷川櫂

この句には、「法然院、谷崎潤一郎、松子夫人の墓所」と前書きがある。この墓所には大きな鞍馬石が二つおかれており、その間には枝垂桜が一本植えられているという。左の石が谷崎夫妻の墓で、右の石は松子夫人の親族の墓。石には左が「寂」、右が「空」と、一字刻まれているだけである。詠まれているのは、その並んだ二つの石が露に濡れている光景である。この世でもなければ、あの世でもない、どこか別の世界を垣間みているような感じを覚える。この石は冷たくもあり、どこか温かくもあり、たしかに秋を感じさせる。

※古志HPの「今日の一句」の9月27日掲載分です。

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