その声の秋風に似てゐざりしや 長谷川櫂

前書きから、「その声」の持ち主が安東次男氏であることがわかる。この句は、安東氏の持病である肺気腫が快方に向かったという知らせを聞いて、その返事に詠まれた句のうちの一つ。秋風は日の衰えを感じさせるものであるが、この句は、その声に衰えのなかったことを喜んでいるのである。その喜びがまた相手を元気づけているように思える。さらに、この句には付句が届く。すなはち、「十日の菊を思ふこのごろ」。

※古志HPの「今日の一句」の9月17日掲載分です。
※※安東次男は、俳人であり、詩人であり、評論の『現代詩の展開』、『芭蕉七部集評釈』、『風狂始末』などでもよく知られています。飴山實が兄事した人でもあります。2002年4月に逝去。

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