永き日のにはとり柵を越えにけり 芝不器男

日が長くなってくると春を感じます。冬あいだ中、しんとしずまりかえった世界にあった生きものたちが、春の気配を感じながら徐々に動きをとりもどす。おそらく、この句もそのような瞬間をとらえたのだろうと思います。永き日とは、つまり日が沈むのが遅くなると同時に、「時間の流れ」が遅く感じるということでもあると思いますが、つまり読み手は上五の「永き日の」でいきなり急ブレーキをかけられるようなかたちで、句の世界に引き込まれる。そこで一気にニワトリが一羽、庭の柵を力強くこえる、その姿に生の跳躍力を感じとるわけです。

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