朝もどる猫の素足や春の雪 井上井月

朝、薄く積もった雪の上に、猫の足跡がある。作者はそれを猫の家の外で見ている。猫は家に戻り、のこされた猫の足跡のもとに作者がいる。もどるところのない、放浪の詩人らしい句である。猫が素足なのはあたりまえだが、それに驚く作者は、おそらく自分も猫と同じだと思っているからであろう。俺は素足でないのに、なぜお前は素足なのだと。
出典『井月全集』

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