前田普羅五〇句(千方選)

雪解川名山けづる響かな     (普羅句集)
羽抜鳥高き巌に上りけり     (普羅句集)
人殺す我かも知らず飛ぶ螢    (普羅句集)
新涼や豆腐驚く唐辛       (普羅句集)
落ち落ちて鮎は木の葉となりにけり(普羅句集)
がぶがぶと白湯呑みなれて冬籠  (普羅句集)
湖の氷をよごす出初かな     (普羅句集)
手燭して乾鮭切るや二三片    (普羅句集)
御涅槃のかたきまぶたや雪明り  (普羅句集)
鯨捕れて浦の臭さよ実梅照る   (焦鈴舎句屑一)
紫の影落しけり菌山       (焦鈴舎句屑一)
蜂の巣の空になりたる時雨かな  (焦鈴舎句屑一)
茶摘女の唄高らかに一ところ   (焦鈴舎句屑一)
麦飯をぼろぼろ食ひて涼しけれ  (焦鈴舎句屑一)
山烏雪解の上を歩きけり     (焦鈴舎句屑一)
美しき毛虫の怒りやすきかな   (焦鈴舎句屑一)
ふらここに遊ぶ乞食や神の前   (焦鈴舎句屑一)
夕若葉立山雪をぬがんとす    (焦鈴舎句屑一)
春鱈のすべり落ちけり二ツ三ツ  (焦鈴舎句屑一)
空蝉のふんばつて居て壊はれけり (新訂普羅句集)
沈みたる竹瓮が濁す水の底    (新訂普羅句集)
梨売がふみて歩けり蟻地獄    (焦鈴舎句屑二)
大空に一とこ破れて雪晴るる   (焦鈴舎句屑二)
駒ヶ嶽凍てて巌を落しけり    (焦鈴舎句屑二)
田掻馬洗ひて草鞋はかせけり   (焦鈴舎句屑二)
あかねさす柿をのこして兵に出づ (焦鈴舎句屑二)
能登炭の一と雪あびて出されけり (焦鈴舎句屑二)
焚き焚きて香に燻ほる深雪かな  (焦鈴舎句屑二)
山姥がひともと守る柿あまし   (焦鈴舎句屑二)
国土黄に枯れたる海のふかみどり (焦鈴舎句屑二)
吹雪してこの民今を戦へり    (焦鈴舎句屑二)
あやまちて地球に落ちし毛蟲かな (焦鈴舎句屑二)
戦へる國をしづめの落葉かな   (焦鈴舎句屑二)
からからとはかる蜆に目覚めよし (焦鈴舎句屑二)
朝顔を煽ぎて遊ぶ団扇かな    (焦鈴舎句屑二)
巨人出て芋掘る人も一とやすみ  (焦鈴舎句屑二)
猫孕み金銀の目の光りけり    (焦鈴舎句屑二)
飛行機の上なる秋の天澄めり   (焦鈴舎句屑二)
俳諧を鬼神にかへす朧かな    (焦鈴舎句屑二)
うらがへし又うらがへし大蛾掃く (朝寒浅間山)
春の炉に足裏あぶる杣が妻    (飛騨紬)
顔いれて馬も涼しき花うつぎ   (飛騨紬)
神々の椿こぼるる能登の海    (能登蒼し)
笯に入りて千々にぬけ行く冬の水 (古春亭句集)
雪の夜や家をあふるる童声    (古春亭句集)
大いなる一つは葉附早桃かな   (古春亭句集)
かく生きてイヌノフグリに逢着す (古春亭句集)
一つぶの葡萄おもたき別離かな  (古春亭句集)
秋風の吹きくる方に帰るなり   (古春亭句集)
月出でてかくかく照らす月見草  (矢口句抄)

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