風船売大和の埴土を長靴に 飴山實
埴土(はに)とは古来、陶器や瓦に用いられてきた粘土のこと。風船売が春の季語であるが、風船売の長靴についた土は、まさに春の到来のあかし。季節は春、国は泥濘の大地。 ※古志HPの「今日の一句」の2月28日掲載分です。
埴土(はに)とは古来、陶器や瓦に用いられてきた粘土のこと。風船売が春の季語であるが、風船売の長靴についた土は、まさに春の到来のあかし。季節は春、国は泥濘の大地。 ※古志HPの「今日の一句」の2月28日掲載分です。
前書きに「金沢」とある。雪国の春に見られる風景であろう。雪代とは雪解水のこと。雪解けした水が川に流れ込み、岸辺近くまで水かさが増す。次々と流れ込む雪代の速さと、ただ静かに古びゆく岸辺の時間経過とが対照的。雪代の「動」と岸...
細く、しなやかな一本の白梅の苗。葉も枝もない苗は、まさに「鞭のごときもの」。梅はバラ科であり、棘をもつものあるが、この苗は、どこか生きものの「背骨」を想わせる。 ※古志HPの「今日の一句」の2月6日掲載分です。
雁が越冬する北国。早々と日が暮れ、戸外で活動していた人々は家に入り、町は静まりかえる。まず灯がひとつともり、そこから厳寒に閉ざされた屋内の暮らしが始まる。遠くには雁の声が聞こえている。ひとつの灯が、まるで人々の温もりのあ...
霜焼けは寒さだけでなく、水分が浸透したままの皮膚が乾くことで、静脈がうっ血しておこる。霜やけになるまで、子どもと一緒に雪遊びをしたのだろう。寒さに負けない子どもの健康さと、その子をたくましく思う親の心が伝わってくる。また...
通常、人の耳が聞く声は、鳥や犬や人など特定の何かの声である。しかし、この句は違う。「生きもののこゑ」なのである。それを聞く「耳」は、どこか遠く、次元の異なるところから聞いているように思える。「初手水」と響き合うことで、生...
かなかなとは蜩(ひぐらし)のこと。蝉は夏の季語ですが、蜩は初秋です。その声は、夏の終わりのさみしさ、せつなさ、むなしさ、といった言いようのない気分そのものです。 地獄草紙とは、浄土仏教にある「六道」の思想に基づき、地獄が...