田を植ゑしはげしき足の跡のこる 飴山實
田植えの活気や、またそのたいへんさが伝わってくる一句。田んぼを出るたびに、その土をつけた足が跡をつける。それがまだ乾くまもなく、また別の足跡がつく。田植えが終ってみれば、田植えのはげしさをのこしたまま、その足跡が乾きかた...
田植えの活気や、またそのたいへんさが伝わってくる一句。田んぼを出るたびに、その土をつけた足が跡をつける。それがまだ乾くまもなく、また別の足跡がつく。田植えが終ってみれば、田植えのはげしさをのこしたまま、その足跡が乾きかた...
端午の節句に食べる粽(ちまき)。この風習は、中国の詩人屈原の物語に由来する。昔は茅萱(ちがや)の葉でくるんだため、茅巻きとも書く。今は、餅やもち米などを笹にくるみ、藁などで結わいて蒸す。笹にくるんだ餅が水分を吸って膨らむ...
山藤は木から木へ蔓を伸ばし、山林の樹冠にひろがる。花は房状に枝垂れて数十センチにもなる。この句の山藤は、まだ花が枝垂れはじめたばかり。「いと」の繰り返しに、ほんとうにまだ小さく、咲きそめたばかりの様子がうかがえる。甘い香...
この句は「この世」への複雑な心をそのまま詠んでいるのだろう。「この世まかせ」を否定するのでも、また執着しているのでもない。両義的なのである。それは、どこか『草枕』を書いた漱石を思わせる。下五に「草の餅」が静かに添えられる...
丹波は記紀や風土記などにも見られる古い地名。その地形は渓谷と盆地からなり、水の豊かなところ。まるでその風土までいっしょに届いたかのような一句である。太古も今も変わらず、さまざまなものの芽が人々に春のおとずれを告げている。...
糸桜は枝垂れ桜のこと。「いとざくら」と平仮名で書くと、より繊細でしなやかな姿を思わせる。かすかな風が揺れやすい枝の所々を触れているさまが目に浮かぶ。ゆったりとした気持ちが伝わってくる一句。 ※古志HPの「今日の一句」の3...
種撰み(たねえらみ)は、そもそも稲作の言葉で、塩水に種籾をひたして、浮かんでくる悪い種をのぞき、底に沈む良い種を残すこと。美味しいお米を作るための、はじめの仕事である。桶の水に浮き沈む種をじっと見つめていると、背後から吹...