吉田修一『悪人』を読んで

冒頭を読むと、書き手の視点が少し厭味に感じられるかもしれない。しかし、読み進めればたちまち、その印象ががらりと変わってくる。まるで透明人間となって、さまざまな人間のかたわらに寄り添い、その言葉にならない複雑な心の声を聞き...

胃カメラ日和

俳句と関係がないことですが、昨日生まれてはじめて胃カメラを飲みました。この数週間、胃の調子がおかしくて、仕事の合間をみつけて近所の医者へいくと、胃カメラを飲みましょう、とさらっと言われ、翌朝すぐに実施されたのです。 飲ん...

柳生さんとホトトギス

霍公鳥(ほととぎす) 間しまし置け(あいだしましおけ) 汝が鳴けば(ながなけば) 我が思ふ心(わがおもうこころ) いたもすべなし この歌は、NHKの「日めくり万葉集」という番組で知りました。そのときの選者であった柳生博さ...

大野晋さんに学ぶ

今年の二月に浅利誠という学者の『日本語と日本思想』という本を読んだのですが、その中で知った大野晋という国語学者がいます。大野さんは、残念ながら先月八十八歳で亡くなったそうで、たまたま本屋で見つけて読みはじめたら、はまって...