ひきよせて比良へかざすや蝦竹瓮 飴山實
蝦竹瓮(えびたっぺ)とは、蝦を獲るための竹籠のこと。「えびたつべ」ともいう。この籠に餌を入れ、それをいくつも付けた縄を湖底におろし蝦をとる。琵琶湖ではこの漁がさかん。湖上で引き上げた竹瓮を高くかざせば、籠の隙間から比良山...
蝦竹瓮(えびたっぺ)とは、蝦を獲るための竹籠のこと。「えびたつべ」ともいう。この籠に餌を入れ、それをいくつも付けた縄を湖底におろし蝦をとる。琵琶湖ではこの漁がさかん。湖上で引き上げた竹瓮を高くかざせば、籠の隙間から比良山...
冬の山とは、琵琶湖西岸の比良山のことであろう。鯉の子とは鯉の卵のこと。根菜などと一緒に煮て食べる。鯉の子は熱を加えると、弾けるように身をひらく。その様子を「おどろきやすく」と言ったのだ。まるで無垢な子どもの動きのように見...
氷魚(ひお)は鮎の稚魚のことで、「ひうお」ともいう。氷のように半透明な姿をしている。堅田は今の大津市の北部、昔は琵琶湖の交通拠点であり、芭蕉が〈鎖あけて月さし入れよ浮み堂〉と詠んだことでも知られる。氷魚をさっと二杯酢でい...
六地蔵とは六道(天上、人間、修羅、畜生、餓鬼、地獄)の迷いを救うものとして、六体並べられたお地蔵様。この句のお地蔵様は道端におられるのであろうか。誰かが寒さを気づかって毛糸の帽子を新調したのだ。毛糸の帽子と同じくらいあた...
植林した針葉樹は木材にしたときに節が残らないよう、樹木の生長が止まる秋から冬にかけて枝打ちが行われる。この句の枝打ちの枝は、次から次へまるでみづから落ちてくるかのようである。樹木の再生の力と、その樹木にささえられて生きる...
御齋(おとぎ)峠は、伊賀と甲賀の間にある峠。この句には「近江に向ふ芭蕉が家郷と別れしところなれば」と前書きがある。伊賀は芭蕉の故郷。近江は芭蕉の第二の故郷である。芭蕉と同じの旅すがら、御齋峠を越えるときに伊賀のほうをふり...
作事場とは、土木建築の工事現場のこと。冬が間近に迫る作事場で、火が焚かれているのだろう。一方に人間の火を使う力や自然を加工して人工物をつくりあげる力があり、また一方に菊の花をまだ消さずに残こしているものの力がある。