凍りあふて何を夢みる海鼠哉 松瀬青々
海鼠(なまこ)は、冬の季語。海鼠と言えば、芭蕉の名句が思い浮かぶ。 〈生きながら一つに凍る海鼠かな〉芭蕉 これまで詠まれてきた海鼠の句は、数知れず。しかし、この芭蕉の海鼠の句は、別格だ。青々はこの句はいわば芭蕉の句の類想...
海鼠(なまこ)は、冬の季語。海鼠と言えば、芭蕉の名句が思い浮かぶ。 〈生きながら一つに凍る海鼠かな〉芭蕉 これまで詠まれてきた海鼠の句は、数知れず。しかし、この芭蕉の海鼠の句は、別格だ。青々はこの句はいわば芭蕉の句の類想...
九月一日は防災の日です。大正十二年のこの日、午前十一時五十八分、相模湾を震源とする大きな地震があり、同時に火災が発生。日本海側に台風が迫っていた関係で、太平洋側には乾いた秋風が強く吹いていたと聞きます。おかげで、その火は...
蝉花(せみはな)とは、この句を読んではじめて知った言葉です。同じ意味の季語に、「蝉茸」や「冠蝉」という言葉もあります。蝉の幼虫が土から這い出ても、蛻変(成虫になること)できぬまま、頭から橙黄色の棒状の茸が生えてくるのだそ...
季語は「蛍」で夏。この句に登場する女性は、かほそく小さな手の持ち主と見ました。その手から蛍をもらうときに伝わるものは、握りの「軽さ」です。握っている手指の「軽さ」が、蛍の命の「儚さ」を同時に伝えてくるのだと思うのです。女...
季語は「夏花」(げはな)。「夏花摘み」という季語もありますが、「安居」(あんご)の供花にするわけです。もちろん安居とは、仏教徒の修行のひとつで、僧が一箇所に集まってともに修行をすることです。雨期に行なうものが、「雨安居」...
昨日、この句を思わせる光景を目の当たりにしました。まだ梅雨明けには早いですが、朝からすでに夏の光を思わせるくらい日差しが強く、通勤バスを待つ人の列にも、気だるさただよっていました。私もそのバス停で最寄りの駅まで行くバスを...
合歓(ねむ)の花は、夏の季語。蛇も夏の季語ですが、この句の主役は合歓でしょう。万葉集に紀女郎の〈昼は咲き夜は恋ひ寝る合歓の花〜〉という一首もあるように、合歓は夜になると葉を閉じる。それが眠っているようだから「ねむ」と呼ば...