西村麒麟の俳句

浮寝して仲間に入れて貰ひけり 西村麒麟の句集『鴨』の最後に置かれた句である。うれしいような、さみしいような不思議な余韻のある句である。高野素十の〈水尾ひいて離るる一つ浮寝鳥〉の裏をとったような句だが、俳句で浮寝鳥といえば...

平和俳句について

金子兜太さんといとうせいこうさんが、中日新聞・東京新聞で今年の元旦から「平和俳句」のコーナーをはじめた。投稿される俳句の中から、毎日一句ずつ掲載している。 ファナティックな感じが出てしまうと平和俳句にはならないし、逆に平...

俳句という石垣

飯田龍太はある俳話の中で、俳句を野面(のづら)積みの石垣にたとえている。 《一見無造作に見えて驚くべき合理性とその耐久力は、石の見える部分より見えない部分に何倍かの力が隠されているためであるという。しかも、あの石垣は、何...

オランダの風景

飛行機がオランダの玄関スキポール空港に近づく。その機体は、U字に開いた湾を一直線に閉じる巨大な堤防の上を通過する。空から見れば、明らかにそこは湾、つまり海に見える。しかし、今そこは「アイセル湖」と呼ばれる。つまり、淡水の...