道問へば露地に裸子充満す 加藤楸邨
一茶の〈雪とけて村いつぱいの子どもかな〉と、金子兜太の〈曼珠沙華どれも腹出し秩父の子〉との間にあるような句である。戦時中の貧しき村の様子が目に浮かぶ。今も世界の至る所で、このような光景に出くわすはずだ。
一茶の〈雪とけて村いつぱいの子どもかな〉と、金子兜太の〈曼珠沙華どれも腹出し秩父の子〉との間にあるような句である。戦時中の貧しき村の様子が目に浮かぶ。今も世界の至る所で、このような光景に出くわすはずだ。
卵の形状をあらわしただけの句ではないか。一読したときはそう思った。しかし「寒卵」という季語を中心によく読んでみると、それだけではないことに気づいた。食べ物の少ない冬の時期にあって、いただく卵の命はとりわけありがたい。下五...
フンコロガシは日本にはいない。夏の季語とされるらしいが、定着はしていない。かつて古代エジプトでは、フンコロガシは天の運行を司る神であったそうだ。糞を転がすごとく、天体を転がすというわけである。実際、フンコロガシは太陽や月...
ふつう、黴を美しいとは思わないかもしれない。しかし、この句に出会ったからには、そうはいかなくなる。月光に照らされ、青白く光る黴のディテールが目に浮かぶ。命のかたちが、浮き上がって見える。陰翳礼讃の一句。 出典:『雪後の天...