南禅寺山門に秋迫りけり 長谷川櫂
南禅寺は、京都市左京区に位置する臨済宗の禅寺。有名な山門(三門)は、「天下龍門」とも呼ばれ、日本三大門の一つである。高さが二〇メートル以上あり、楼上からは京都市街を一望できる。歌舞伎『楼門五三桐』では、石川五右衛門が「絶…
南禅寺は、京都市左京区に位置する臨済宗の禅寺。有名な山門(三門)は、「天下龍門」とも呼ばれ、日本三大門の一つである。高さが二〇メートル以上あり、楼上からは京都市街を一望できる。歌舞伎『楼門五三桐』では、石川五右衛門が「絶…
「涅槃」という季語を使って俳句を詠む場合、大きく分けて、涅槃会や涅槃の日を詠む場合と涅槃像や涅槃図を詠む場合とがある。後者では、涅槃像や涅槃図が釈迦入滅の様子を表現しているように、釈迦入滅すなわち涅槃そのものを俳句に詠む…
この句は、蛙の声を呼んでいるというだけでなく、言葉の連なりとしても聴覚的な句である。上五中七の「KenKonno KoKoni yoKiKoe」と書くとわかるが、K音がリズミカルに配置されている。 聴覚を刺激されるのは、…
地球の内部は、地殻、マントル、核と中心に近づくにつれて高温になる。核は溶けた鉄の塊。その温度は6000度にもなるという。マントルは岩石の層で、核に熱せられ、地殻付近では冷され、内側から外側へ、外側から内側へゆっくり対流し…
古来大氾濫を繰り返してきた川沿いの村。流されてもまた村を築き、築いてはまた流される。月もまた欠けては満ち、満ちては欠けてゆく。再生=よみがえりの象徴である。永遠は死と生の循環の中にある。 ある夜、月見草をみながら、そんな…
落椿の蕊のなかから、蜜をむさぼったものの顔があらわれる。その口は金色の花粉にまみれている。蜂か虻のたぐいであろうか。 椿は虫や鳥を媒介して受粉を行う。椿のような植物の生命において、おそらく受粉(送粉)は、最も重要な営みで…
一読すると瑞々しい世界を想像するが、再度読み直すと、聖セバスチャンの殉教図が思い浮かんできた。それは、有名なイタリア・バロック期のグイド・レーニの聖セバスチャン図だ。 グイド・レーニの聖セバスチャン図は、腰衣一枚の裸の青…