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投稿者: ちかた

一句鑑賞/長谷川櫂

蓬萊や夏は大きな濤の音 長谷川櫂

Posted on 22 3月, 2024 by ちかた / 0件のコメント

大きな濤の音が聞こえている。現実に起きていることは、ただそれだけである。 蓬萊とは古代中国の伝説の山である。東の海上にあり、不老不死の薬を持つ仙人が住むと言われた。濤の音を聴いて、作者は蓬萊を思い浮かべた。いや、蓬萊にい...

一句鑑賞/長谷川櫂

徒然やぎしぎし揺らす籐の椅子 長谷川櫂

Posted on 15 3月, 2024 by ちかた / 0件のコメント

暇と退屈は違うのだそうだ。國分巧一郎によれば、暇とは、やることがなく空いてしまっている時間のことであり、退屈とは、やるべきことがないときの負の感情のこと。だから、暇であっても退屈が生じない充実した状態もあるし、暇はないの...

一句鑑賞/長谷川櫂

陀羅尼助でござりますると蟇 長谷川櫂

Posted on 14 2月, 2024 by ちかた / 1件のコメント

陀羅尼助(だらすけ)は腹痛の薬。大峯山の山伏たちが広めたとされる、古くからある薬で、元禄の頃に商品化されたらしい。苦さが特徴で、〈だらすけは腹よりはまず顔にきき〉という川柳ものこっている。 掲句は、蟇が陀羅尼助を売ってい...

一句鑑賞/長谷川櫂

人変はり天地変はりて行く秋ぞ 長谷川櫂

Posted on 29 11月, 2023 by ちかた / 1件のコメント

2011年3月11日、東日本大震災が起きた。文字通り、天地は一変し、人の暮らしも一変せざるを得なくなった。この変わりゆく世界を悲しみつつも、この世の無常を受け入れ、それでも前に進もうという力を感じる一句。 この句において...

一句鑑賞/長谷川櫂

戦せぬ紙の兜のめでたしや 長谷川櫂

Posted on 6 10月, 2023 by ちかた / 0件のコメント

端午の節句のとき、新聞紙か何かで折った兜であろう。この紙の兜は飾りである。それをかぶっても、実際に刀で切りかかられたら、ひとたまりもない。紙の兜をかぶって、戦場に出ていくものはいない。だから「戦せぬ」なのだ。 この「紙の...

一句鑑賞/長谷川櫂

初山河まづ太陽のとほりゆく 長谷川櫂

Posted on 6 10月, 2023 by ちかた / 0件のコメント

太陽の描写する場合、たいていは「のぼりゆく」や「わたりゆく」。気象や天文など科学的な分野では、軌道を表す際に、太陽が通る、通過する、ということはあるが、俳句ではめずらしい使い方ではないだろうか。 「のぼる」や「わたる」だ...

一句鑑賞/長谷川櫂

蚊柱の湖の空おぼつかな 長谷川櫂

Posted on 6 10月, 2023 by ちかた / 0件のコメント

淡海の章に収録された一句。淡海は琵琶湖の古称。私はまだ行ったことがないので、琵琶湖はまだ想像上の場所である。 琵琶湖では、びわこ虫と呼ばれる小さな虫が大量発生することがあるらしい。正式にはオオユスリカという。掲句の蚊柱も...

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INFO

句集を刊行しました。もしお読みいただける方がいらっしゃれば CONTACTよりご連絡ください。
句集白桃
句集『白桃』
(古志叢書五〇篇)
著者:関根千方
価格:2,400円+税
仕様:四六判上製/152ページ
発行:ふらんす堂
発売日:2017年3月28日
ISBN:978-4781409498

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