美しき黴や月さしゐたりけり 加藤楸邨

ふつう、黴を美しいとは思わないかもしれない。しかし、この句に出会ったからには、そうはいかなくなる。月光に照らされ、青白く光る黴のディテールが目に浮かぶ。命のかたちが、浮き上がって見える。陰翳礼讃の一句。
出典:『雪後の天』

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