流木や嘆き疲れて秋の風 長谷川櫂
われわれは歴史を語ることはできるが、その正しさを証明することは不可能だ。なぜなら、われわれはその歴史の中にいるから。まして俳句はその短さ故、語ることすらむずかしい。 俳句は読み手との対話にひらかれている。だからこそ、つね...
われわれは歴史を語ることはできるが、その正しさを証明することは不可能だ。なぜなら、われわれはその歴史の中にいるから。まして俳句はその短さ故、語ることすらむずかしい。 俳句は読み手との対話にひらかれている。だからこそ、つね...
漱石は猫で有名ですが、犬も飼っていました。『元祖・漱石の犬』という本によれば、明治三〇年、漱石は鏡子の流産のあと、その傷を癒すためか、一匹の仔犬を飼ったそうです。写真も遺っています。しかし、その仔犬とは一年で引っ越しの際...
帰るところがないのだ。しかも、その帰るところがないというところへ「帰る」というのだ。それは漂泊の一語で説明のつくことではない。私は、この句を読むと、坂口安吾のエッセイ「文学のふるさと」や「日本文化私観」の一節を思い出さず...
前書きから、「その声」の持ち主が安東次男氏であることがわかる。この句は、安東氏の持病である肺気腫が快方に向かったという知らせを聞いて、その返事に詠まれた句のうちの一つ。秋風は日の衰えを感じさせるものであるが、この句は、そ...
九月一日は防災の日です。大正十二年のこの日、午前十一時五十八分、相模湾を震源とする大きな地震があり、同時に火災が発生。日本海側に台風が迫っていた関係で、太平洋側には乾いた秋風が強く吹いていたと聞きます。おかげで、その火は...