からっぽの蜂の巣ながれ秋の水 飴山實
蜂の巣とは女王蜂を頂点にして様々な役割や働きのある蜂たちが集まって形成する一つの社会の「器」です。しかし、秋の澄みわたった川を流れていく蜂の巣には、満ち満ちていたはずの蜜もなければ、そこで生まれ育まれた数々の命のかけらも...
蜂の巣とは女王蜂を頂点にして様々な役割や働きのある蜂たちが集まって形成する一つの社会の「器」です。しかし、秋の澄みわたった川を流れていく蜂の巣には、満ち満ちていたはずの蜜もなければ、そこで生まれ育まれた数々の命のかけらも...
上五の「いっぺんの」の促音「っ」と、半濁音の「ぺ」、つづく中七のパセリの「ぱ」のP音が、その一瞬のときの瞬間性を際立たせている句だと思います。床に落ちたパセリがさっと掃かれる瞬間、目の前から消えるものは「緑」です。緑色は...
真夏の山は日光の直射にあたためられて、土や草木にたくわえられている水分もどんどん蒸発し、その水蒸気が空気中にある。その水蒸気が光に反射してゆらゆらと見える。山をとり巻くそのぼんやりしたものを、にわか雨が一気に洗い流してし...
初音とは、その年最初の鶯の鳴き声のことです。まっ先に春の訪れを感じさせるものが、視覚ではなく聴覚に響くものだというのはうなづけます。この句の「けさもまた今日のはじまり」とは、今朝もまたいつもと同じように一日が繰り返される...
竹と竹が密に組み合って、昨晩降り積もった雪を支えている様子を思い浮かべますが、この句が詠まれたときにこの景はもはや跡形もないのです。なぜなら「さゝへけり」の「けり」という大きな切れ字は、「〜だったのだなあ」という気づきの...
日本酒を最近おぼえたせいもありますが、実感として詠めます。句を詠んでいるだけなのに、ほんとうに憂きことが鼻から抜けていきます。松瀬青々は子規からの評価が高かった俳人で、関西のホトトギス派の重鎮だそうです。もともと数学が得...
芭蕉の辞世の句〈旅に病んで夢は枯野をかけめぐる〉の本歌取りというか、本句取りです。もちろん芭蕉批判ともとれる句です。芭蕉にとって「旅」とは、反復強迫、つまり一つの「病い」だと思います。芭蕉には、心の内側から何度も何度もや...