初山河まづ太陽のとほりゆく 長谷川櫂
太陽の描写する場合、たいていは「のぼりゆく」や「わたりゆく」。気象や天文など科学的な分野では、軌道を表す際に、太陽が通る、通過する、ということはあるが、俳句ではめずらしい使い方ではないだろうか。 「のぼる」や「わたる」だ…
太陽の描写する場合、たいていは「のぼりゆく」や「わたりゆく」。気象や天文など科学的な分野では、軌道を表す際に、太陽が通る、通過する、ということはあるが、俳句ではめずらしい使い方ではないだろうか。 「のぼる」や「わたる」だ…
淡海の章に収録された一句。淡海は琵琶湖の古称。私はまだ行ったことがないので、琵琶湖はまだ想像上の場所である。 琵琶湖では、びわこ虫と呼ばれる小さな虫が大量発生することがあるらしい。正式にはオオユスリカという。掲句の蚊柱も…
あの世は地の底にあるのだろうか。幼少のころ、祖母が家のまえて迎え火を焚いていた様子をおぼろげながら記憶している。その時の感覚では、明らかに空から来る感じであった。日本の固有信仰では死者の霊は裏山に集まり、やがて祖霊として…
釘箱を開けるとなかの釘がことごとく赤く錆びついていたのだろう。釘箱の外に広がる世界も、同様に真っ赤に染まっている。釘の赤がさらにあざやかにみえてくる。 また掲句を音にしてとらえなおすと、「KUGIBAKO NO KUGI…
最後がもし「ありけり」であれば、むかし戦争があったそうだということになるが、この句は「ありにけり」。つまり、そこに戦争があった、そのことにいま気づいたということである。 しかも、この句は「しんと」戦争があったという。戦争…
いまから17年前、2006年にオランダのアムステルダムで、坂本龍一さんにお話しを聞くことがありました。すでに坂本さんは、音楽家と平行して、地球環境問題に関わる横断的なプロジェクトを行う活動家としての側面をお持ちでした。こ…