釘箱の釘ことごとく寒茜 長谷川櫂
釘箱を開けるとなかの釘がことごとく赤く錆びついていたのだろう。釘箱の外に広がる世界も、同様に真っ赤に染まっている。釘の赤がさらにあざやかにみえてくる。 また掲句を音にしてとらえなおすと、「KUGIBAKO NO KUGI…
釘箱を開けるとなかの釘がことごとく赤く錆びついていたのだろう。釘箱の外に広がる世界も、同様に真っ赤に染まっている。釘の赤がさらにあざやかにみえてくる。 また掲句を音にしてとらえなおすと、「KUGIBAKO NO KUGI…
最後がもし「ありけり」であれば、むかし戦争があったそうだということになるが、この句は「ありにけり」。つまり、そこに戦争があった、そのことにいま気づいたということである。 しかも、この句は「しんと」戦争があったという。戦争…
いまから17年前、2006年にオランダのアムステルダムで、坂本龍一さんにお話しを聞くことがありました。すでに坂本さんは、音楽家と平行して、地球環境問題に関わる横断的なプロジェクトを行う活動家としての側面をお持ちでした。こ…
今年もまた三月十一日がやってきました。東北大震災から九年が経ち、あらためて照井翠さんの句集『龍宮』を読みなおしました。この句集は何百年先にも読み継がれるべき古典だと思いました。震災の記憶がまだ生々しかった当時は、一句一句…
昨年末NHKBSのドラマ『ストレンジャー~上海の芥川龍之介~』をみました。主演は松田龍平。無表情の演技がすばらしかったです。映像の品質も高く、100年前の中国の現実をリアリズムで描いていて、なかなかみごたえがありました。…
新年早々、食あたりで寝込みました。下痢と嘔吐、そのあとは高熱。こんな寝正月、生まれて初めてです。これは、もう生き方を改めよという神の啓示でしょうか。食べることの恐ろしさを感じた、こんな年明けにふさわしい俳人は、この人しか…
後藤比奈夫さんの句集『白寿』(2016年)『あんこーる』(2017年)『喝采』(2019年)から選をさせていただきます。比奈夫さんは大正6年(1917年)生まれということで、おんとし百二歳。おそらく、来年も再来年もまた続…