飯田龍太句集『麓の人』『忘音』『春の道』
四十代最後の一年となりました。この十年を振り返ってみると、人並みにいろいろとありました。人によっては、自身の人生を句材にするようなことはしない、という方もいるでしょう。しかし、そういう人であっても、時間と無縁に生きられる…
四十代最後の一年となりました。この十年を振り返ってみると、人並みにいろいろとありました。人によっては、自身の人生を句材にするようなことはしない、という方もいるでしょう。しかし、そういう人であっても、時間と無縁に生きられる…
浮寝して仲間に入れて貰ひけり 西村麒麟の句集『鴨』の最後に置かれた句である。うれしいような、さみしいような不思議な余韻のある句である。高野素十の〈水尾ひいて離るる一つ浮寝鳥〉の裏をとったような句だが、俳句で浮寝鳥といえば…
11月21日は波郷忌。深大寺に吟行しにいくたび、お墓に挨拶にいきます(ついで申し訳ないのですが)。深大寺から神代植物園に抜けていく道を左に折れていくと墓地があり、その中央付近に「石田波郷」と彫られた小さなお墓があります。…
十年といっても、さまざまな十年があるものです。十年という単位に意味があるわけではないですが、区切ってみることで見えてくるものがあるから不思議です。 今回は、高橋睦郎さんの句集『十年』から二十句を選ばせていただきました。句…
愁いの秋も深まってきました。そんなときは星空でも眺めて、ぼーっとしたいところです。しかし、この秋は雨の日が多く、星空どころか、月さへあまり見られませんでした。だからというわけではないですが、今回は大峯あきらさんの自選句集…
野見山朱鳥は、1917年生まれ(兜太さんの2歳上)で、1970年の2月26日に亡くなっています(享年52歳)。1970年といえば、三島由紀夫の死んだ年です。どちらも夭折ですが、随分異なります。朱鳥は生涯の三分の一は病床に…
平成二年発行の『橋本鶏二全句集』には十冊の句集が収められています。今週は『年輪』『松囃子』『山旅波旅』『鷹の胸』の四句集の選句にとどめます。 『年輪』 渋搗の渋がはねたる柱かな 荒々しさのあと。 『松囃子』 烏蝶追ふ少年…