代る代る蟹来て何か言ひては去る 富安風生
風生晩年の鳥獣戯画を思わせる一句。蟹が何匹も代る代る自分のところにやってきては、泡をぶくぶく吐いては去っていく。擬人法の句だが、リアルな蟹の姿がいきいきと見えてくる。なお、この句には前書きがある。「微恙(びよう)のため一...
風生晩年の鳥獣戯画を思わせる一句。蟹が何匹も代る代る自分のところにやってきては、泡をぶくぶく吐いては去っていく。擬人法の句だが、リアルな蟹の姿がいきいきと見えてくる。なお、この句には前書きがある。「微恙(びよう)のため一...
松瀬青々に「むらぎもの心牡丹に似たるかな」の句あり、と前書きがある。「むらぎも」とは臓腑のことで、心にかかる枕詞。しかし、この句には「心」という文字がない。おそらく、心は牡丹そのものにたくされたのだ。心物一如。 出典:『...
しゃぼんだまが垣根を越えて、輝きながらゆらゆらと向いの家へ入っていく。不思議と時間が引き延ばされて、そこに空白がうまれたかのように、時の長さを感じさせる。時間の進む速度が遅くなったかような感覚である。不器男の句の多くに、...
蝦竹瓮(えびたっぺ)とは、蝦を獲るための竹籠のこと。「えびたつべ」ともいう。この籠に餌を入れ、それをいくつも付けた縄を湖底におろし蝦をとる。琵琶湖ではこの漁がさかん。湖上で引き上げた竹瓮を高くかざせば、籠の隙間から比良山...
冬の山とは、琵琶湖西岸の比良山のことであろう。鯉の子とは鯉の卵のこと。根菜などと一緒に煮て食べる。鯉の子は熱を加えると、弾けるように身をひらく。その様子を「おどろきやすく」と言ったのだ。まるで無垢な子どもの動きのように見...
氷魚(ひお)は鮎の稚魚のことで、「ひうお」ともいう。氷のように半透明な姿をしている。堅田は今の大津市の北部、昔は琵琶湖の交通拠点であり、芭蕉が〈鎖あけて月さし入れよ浮み堂〉と詠んだことでも知られる。氷魚をさっと二杯酢でい...
六地蔵とは六道(天上、人間、修羅、畜生、餓鬼、地獄)の迷いを救うものとして、六体並べられたお地蔵様。この句のお地蔵様は道端におられるのであろうか。誰かが寒さを気づかって毛糸の帽子を新調したのだ。毛糸の帽子と同じくらいあた...