桃の花満面に見る女かな 松瀬青々
桃の節句は、女性の節句であるということを忘れてはいけません。春は女性がもっとも女性らしく輝く季節です。万葉集にも大伴家持の有名な歌、〈春の苑(その)紅(くれなゐ)匂ふ桃の下照る道に出で立つ少女(をとめ )〉があります。満...
桃の節句は、女性の節句であるということを忘れてはいけません。春は女性がもっとも女性らしく輝く季節です。万葉集にも大伴家持の有名な歌、〈春の苑(その)紅(くれなゐ)匂ふ桃の下照る道に出で立つ少女(をとめ )〉があります。満...
夏の暑い時分はさかんに使っていたはずの扇も、秋になって涼しくなると、だんだん使われなくなります。紙がたわんだり、骨や軸がほころんだりしていることもあります。故事でも秋の扇は女性にたとえることもあるそうですが、俳句では、秋...
この句はあまりにさっぱりしていて、物足りなさを感じるかもしれませんが、七草粥とはまさにそういうものです。粥の透き通るような白の中に映える七草の青のように、潔く生きたいものです。一月九日は青々忌。 初夢の吉に疑無かりけり ...
芯の芯まであつあつになった風呂吹き大根の上に、濃厚な味噌がかかる。大根があまりに熱いため、かけた味噌がとろけて、その側面を流れ落ちる。このわずかな瞬間をスローモーションでとらえた一句です。こういう映像は、映画やテレビで繰...
この句の特徴を一つ指摘したいと思います。それはこの句が「対句」であるということです。つまり、対句はことわざや、とりわけ漢詩によく見られる、二つで一組の韻文形式です。つまり、語呂の近い言葉を対にして並べるわけです。もちろん...
小舟の舳(へさき)におかれている一本の百合の花。山百合か、姫百合でしょうか。ふと、この句を読んで思ったのは、この百合の花は供花ではないか、ということでした。その舟の行き来する河で亡くなった童女か、もしくは、船頭が先立たれ...
竹と竹が密に組み合って、昨晩降り積もった雪を支えている様子を思い浮かべますが、この句が詠まれたときにこの景はもはや跡形もないのです。なぜなら「さゝへけり」の「けり」という大きな切れ字は、「〜だったのだなあ」という気づきの...