漱石の俳句(9)秋風の聞こえぬ土に埋めてやりぬ

漱石は猫で有名ですが、犬も飼っていました。『元祖・漱石の犬』という本によれば、明治三〇年、漱石は鏡子の流産のあと、その傷を癒すためか、一匹の仔犬を飼ったそうです。写真も遺っています。しかし、その仔犬とは一年で引っ越しの際…

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漱石の俳句(8)肩に来て人なつかしや赤蜻蛉

明治四三年八月二六日、漱石は療養中の伊豆で大量の血を吐き、危篤状態に陥ります。数日生死をさまよい、一命を取り留めます。これが世に「修善寺の大患」と呼ばれる事件です。このときのことは、翌年四月に発表された随筆『思い出す事な…

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