脱ぎ捨てて相撲となりぬ草の上 炭太祇

ふざけあっていたのか、酒を呑みすぎたのか、祭のさなか勢いあまってか。いずれにしても喧嘩っぱやい江戸っ子であろう。オレのほうが強いぜ。ふん、オレの方が強いさ。なに。なんだと。やるか。やるとも。相撲をとりたかっただけなのかもしれないが、威勢よくふんどし一丁になって、土俵の上ならぬ草の上へ。足裏に触れる草のやわらかさに、勝ち負けをこえたやさしさを感じる。が、軍配はいかに。
出典:『太祇句選』

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