母許や春七種の籠下げて 星野立子
一月七日は人日。七草粥を食べる。立子は鎌倉から麹町の星野家に嫁いだ。おそらく正月は麹町で過ごし、七日になって鎌倉の母・糸子のもとへ行くのだろう。七草を入れた籠には、母への長寿の願いも入っている。 出典『句日記』
一月七日は人日。七草粥を食べる。立子は鎌倉から麹町の星野家に嫁いだ。おそらく正月は麹町で過ごし、七日になって鎌倉の母・糸子のもとへ行くのだろう。七草を入れた籠には、母への長寿の願いも入っている。 出典『句日記』
通常、人の耳が聞く声は、鳥や犬や人など特定の何かの声である。しかし、この句は違う。「生きもののこゑ」なのである。それを聞く「耳」は、どこか遠く、次元の異なるところから聞いているように思える。「初手水」と響き合うことで、生...
いまにも落語家が出てきそうな句です。いうまでもなく、出囃子の太鼓です。落語のお囃子は、太鼓、笛、そして三味線などで奏ずるわけですが、そもそもは上方からのものらしいです。中七の「太鼓がはじけ」が見事です。これから面白いこと...
実にすっきりと、くっきりとした句です。「まさを」と言えば、富安風生の〈まさをなる空よりしだれざくらかな〉という有名な句があります。この風生の句は桜がしだれて、迫ってくるような動きを主題をする句ですが、飴山の句は潔く、空の...
繭玉とは新年季語で、柳などの枝に繭形にまるめた餅や団子を数多くつけた、小正月の飾り物のこと。もともとは、農家の副業として養蚕が盛んだった地帯で繭の豊収を祈願して作られたものです。現在の姿は、東京でよく見かける商店街の入口...
この句はあまりにさっぱりしていて、物足りなさを感じるかもしれませんが、七草粥とはまさにそういうものです。粥の透き通るような白の中に映える七草の青のように、潔く生きたいものです。一月九日は青々忌。 初夢の吉に疑無かりけり ...
初音とは、その年最初の鶯の鳴き声のことです。まっ先に春の訪れを感じさせるものが、視覚ではなく聴覚に響くものだというのはうなづけます。この句の「けさもまた今日のはじまり」とは、今朝もまたいつもと同じように一日が繰り返される...